孫に会ってきました.孫は長女の長男です.出産予定日が1月上旬だったのに,9月にいきなり飛び出してきた孫です.落ち着けよ孫,人生は長いんだから.
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おい孫! はるばる東京から会いに来てやったぜ.これからよろしくな.お前が生まれてきたもんだから,俺はおじいさんになっちまったじゃないか.たっぷりとお礼をしてやるからな,この先の長い長い人生でね.かわいがってやるぜベイビー (※ ベイビー = 赤ちゃん)
「抱っこしてごらんよ」と長女に言われて「余裕だぜ」と返したものの,あれ? ヘンだな,赤ちゃんって,こんな感じなんだっけ? 私の身体は自分の娘がこれくらいのときに抱っこしたときの感覚をすっかり忘れてしまったようです.そりゃそうだ,もう二十何年も昔のことだからね.なんて思いながら孫を抱いている私の写真を長女が撮影してくれました.「父,初孫を抱くの図」なんて考えていたに違いない.
「次はミルクね」と長女に言われて再び「余裕だぜ」と返したものの,やっぱり何かヘンで,でも,このときは哺乳瓶の角度をイロイロ調整して,孫はゴクゴクと飲んでくれました.コレも長女は撮影してくれました.
この人生で孫に会えたことはとても嬉しいんだけど,なんか孫を抱いたとき,自分の娘のときとはずいぶん違うもんだなーって思いました.
娘の時は,振りまわしたり,高い髙い髙いーーーしたり,イロイロやったんだけど,今回ひさしぶりに同じことを孫にもやろうと思っていたんだけど,とんでもない,手が滑って落っことしたらどうしようとか,ヘンなことをやってひねったりねじったり折ったり痛い目に遭わせちゃったりしたらどうしよう,なんてことを心配し始めました.どうか泣かないでおくれベイビー (※ ベイビー = 赤ちゃん)
怖いのでソファの上に孫を下ろして,隣に座って指先で足の裏を突いたり,ほっぺたを突いたりしましたぷにゅぷにゅ☆
長女が私の隣に来て一緒に顔を覗きこむと,孫は長女のほうを見つめ始めました.
「この子,誰が来ても私のほうを見るんだよー」
と長女が言っていたので,
「おい,おまえはそんなにママが好きか.俺もおまえのママが好きだぞ.大好きだ.おまえが生まれてくる前からね!」
などと言いながら思ったのですが,「おまえ」っていうのは,なんか乱暴な感じがするよねぇ.祖父が孫に「おまえ」って言うのはいかがなものだろうか? 自分の娘に対しては,小さな頃は「おまえが大好きだよーーー!」なんて言いながら抱きしめたりchu!されたりしたし,長女が大学生になって一時期 (※一時期) ウェーイしちゃってた頃は「おまえは一体なにをやっているのか,やれやれ」なんて言っていたけど,今では長女も次女もステキな大人の女性になっていて,私はこの二人に「おまえ」なんて言わないし,言えないし,かと言って,孫は「あなた」とか「君」でもないんだよねぇ.どうしたもんだろ?
「いいと思うよ,男どうしだからいいんじゃないかな」
って長女に言われて,確かにそうだって思いました.この子は私の娘ではないのです.
二人の娘が小さかった頃の柔らかくて甘くて優しい記憶を蘇らせてくれる存在でもなくて,私の人生において初めて登場した孫という存在なんです.そう考えると,とてもおもしろくなってきました.
「おい孫,『おまえと俺』とで楽しくやって行こうぜ☆」
「お父さんもおじいさんになったんだねぇ」
なんてことを長女に言われました.
そりゃそうだ.きみがこんなに大きくなって,結婚して,ママになったわけだからね.孫にも会えたんだこの人生で.2021年の今日この幸福な未来に来るのと引き換えに,私は年を取ったんだよ.ぜんぜん惜しくない! じじいと呼んでくれたまえ!それに,
きみだって,おばさんになって,おばあさんになるんだぜ,ひひひ
「やめてよーーー」
って笑いながら長女は言っていたけど,
きみの産んだこの子が今のきみくらいになっていて,きみとの間にはたくさんの思い出の山があって,この子ときみとが愛し合っている未来に行けるとしてもイヤかい?
「うーん,そうなるのかなー?」
そうなるよ.だってきみと私とで一回,成功させているじゃないか.次だって余裕だよ.
きみと私とはこれまでの人生において,何もないところから始めて,愛情と信頼を積み重ねて,今こうして,誰にも崩すことのできない,誰にも否定することのできない,堅牢で幸福な父娘関係を完成させたじゃないか.きみだって,きみの息子と同じように幸せな未来を建設することができるよ.
そして,私はこの子とも,同じように幸福な関係を築いて行くよ,きみと私とがこれまで築いてきたのと同じようにね.一回成功させているんだ,次だってうまく行くよ.もっと上手く行く.余裕だぜ,愛しているぜベイビー (※ ベイビー = 赤ちゃん & 長女)
人生がうまく行くかどうかを予測するのは難しいけれども,そんなことよりも人生をうまく進めて行くことのほうが重要だし,それこそ未来を幸福な方向に導くために大事なことだと思うよララララ Life goes on.