音楽情報をアレコレ漁っていたら,石川ひとみの記事 を見かけました.『まちぶせ』から40年,今も歌手としての活動を続けていて,3年前に三十何年ぶりのオリジナルアルバムをリリースしていて,コロナ禍では配信コンサートをおこなって,その模様を収めたDVDをリリースして,という状況だそうです.
私は石川ひとみのアナログレコードを買ったこともないし,テレビやラジオにリクエスト葉書を送ったこともないし,ファンとか追っかけとか親衛隊とかだったこともないけど,石川ひとみに対してはとても良い印象を持って現在に至ります.私が子供の頃にNHKテレビの子供向け人形劇番組でお姫様の声を担当していたのとか,20年ちょっと前にNHK教育テレビの子供向け番組でニャンちゅうとコントみたいなのやってたのとか,そういうのも関係してるかもしれません.
お゛ね゛ぇさぁ゛ん? ここからみ゛ぃを゛出してに゛ゃあ゛!!
— ニャンちゅう (@nyantyuubot) July 15, 2021
1981年にテレビを付けるとあっちの局にもこっちの局にも石川ひとみが出て『まちぶせ』を歌っていました.曲が始まる前のコメントとか,ちょっとしたトークとかから,明るくて元気なおねいさんだなーっていう印象を抱き,現在に至ります.私の9才年上.
『まちぶせ』はユーミンが他の歌手のために書いた曲をカバーして大ヒットした曲でしたが,実際には石川ひとみのために書かれた曲というのもたくさんあって,当時のヒットチャートでは上位に進めなかったものの,曲そのものは決して悪くない,という作品もイロイロあります.私は1982年の『君は輝いて天使にみえた』という曲が印象に残っていて,そしてとても好きです.この曲からはイメージが拡がります.
『君は輝いて天使にみえた』は,少女から大人に変わり始めている「君」にそのままでいてほしいと願う「僕」の気持ちを,22才の石川ひとみが歌う,という構成になっています.電車の車内で「君」の頭の上に吊り輪が下がって天使のように見えた,というところから展開されていく世界です.
髪をかき分けたとき大人の影がのぞいた「君」は高校2年とか3年とかでしょうか.「僕」が駅の伝言板に書いた文字を「君」が読む,という形で連絡を取っているし,「君」が失恋したことがあることを「僕」は知っているし,二人はそれなりに親しい関係にあるようです.しかし,「愛している」とか「好きだ」といった言葉は一切登場することなく,「僕」は「君」に対して,もう少しこのまま,とか,見守っているよ,という立場です.「僕」と「君」は兄妹のようでもあり,兄妹のように仲のよい幼なじみとかクラスメートとか,そんな関係のようでもあります.この2人の関係についていろいろな可能性を考えることができて,イメージがふくらみます.「君」と「僕」をいろいろと入れ替えてみて成り立つ関係が,人生のあちらこちらに見つかります.
二人が乗っている「緑の電車」を,私は勝手に井の頭線だと考えていました.1980年代始め,朝のラッシュアワーの井の頭線には緑色の古い電車が出てきていました.私にはこの勝手なイメージが定着していて,電車が銀色のステンレス車両に変わった今も,井の頭線に乗るときにこの歌を思い出します.「僕」が文字を残した伝言板が階段を降りた場所にあるという駅は,井の頭線だとしたら,どこになるでしょうか.高架駅の高井戸とか吉祥寺とかでしょうか.
この曲のリリースから約40年になります.「僕」と「君」は今どうなっているのでしょうか.二人は一緒に過ごす人生を送っているのでしょうか.それともそれぞれ別のパートナーと共に人生を送っているのでしょうか.もう昔のことを思い出すこともなくなっていて,でも,「君」はどこかの駅の伝言板の前を通りがかったときに,そこに文字を探す少女の姿をみかけると,かつての自分の姿を重ね,「僕」がいた日々を思い出したりするのかもしれません.二人ともそれぞれ家族があって,「僕」には娘がいて,「もう少しこのまま」なんて願っていた時期もあったかもしれません.
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10年前に長女と二人で出かけたとき,急にこの歌を思い出しました.17才になった長女はもう子供の雰囲気を残しておらず,ただちにではないものの,私の元を離れて行く日が近づいていることを私は予感していました.今の関係はとても幸福だし,長女が一緒にいるこの日々が一日でも長く続けばいいのにと思う反面,この歌を思い出しながら「自由に飛べばいい」というようなことを考えたことを今も覚えています.「君」と「僕」の関係は父娘の関係でも成り立ちます.この歌に「愛」という言葉は登場しませんが,しかし広い意味でさまざまなかたちの愛を歌っています.
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『君は輝いて天使にみえた』から私がイメージする世界は,人生を送るにつれて変化してきたし,これからも変わって行くのかもしれません.素敵な歌を聴かせてくれた石川ひとみにはとても感謝しています.これからのご活躍をお祈りいたします.今年の春にTwitter始めたとのことでフォローしてみました.40年前のトークとか,ニャンちゅうとのコントとか,なんかそういうのを思い出します.
いろんな所で
— 石川ひとみ (@Ishikawa_1103) July 14, 2021
突然の雨☔️
みんな、
大丈夫だったかな?
ツイート読むとき声も思い出します☆
Youtubeでみつけた,当時のテレビ番組出演の生演奏をバックにした歌もステキです.