これまでに得てきた情報によると,帯化タンポポの多くが在来種と帰化種との雑種である.我が家の双頭タンポポも雑種である可能性が高いので,雑種タンポポについて一通り情報を集めておくことにした.
国内タンポポ研究論文の多くは,発行部数の少ない和文雑誌や,研究者の所属する大学の紀要に発表されている.これらの多くはダウンロード入手できないため,まずは電子ファイルとしてダウンロードできるものから読むことにした.ダウンロードできないものは大学図書館経由で複写を依頼すればよい.
今回入手した資料は以下の2点.
- 根平邦人,武田山周辺地域におけるタンポポの分布:宅地開発に関連して,広島経済大学経済研究論集,2004,Vol. 26,5-15 Link to PDF
- 渡邊幹男,雑種性帰化タンポポの遺伝的多様性とその起源,第21回(平成18年度)TaKaRaハーモニストファンド研究助成報告,49-6 Link to PDF
一報目はフィールド調査報告で,対象地域は広島県西部.2003年の3月から5月にかけてみつけたタンポポについて外観から在来種,外来種,雑種,に分類して地図上に記載し,宅地化の進行と外来種の増殖,雑種の増殖について考察している.DNAレベルでの解析は行われていない.
二報目は大阪府で2006年から2007年にかけて採取されたタンポポに対する酵素学的解析と,DNA解析の報告である.堺市郊外の住宅地で雑種が増えていることを明らかにしている.
この報告書にはDNA分析のターゲット配列も記載されているので,実験の参考になりそうだ.酵素学的解析のほうは「アスパラギン酸アミノ転移酵素」をターゲットにしているが,この酵素の取り扱い経験がないし,蛋白質の実験を最後にやってから何年も経っているので,できればDNA実験だけで済ませたい.
さて,この報告書から参考文献の孫引き開始.
遺伝の2002年3月号に簡潔な和文総説が載っているらしい.葉緑体DNAの解析について載っている模様.この雑誌が学内の医学部図書館にあることがわかったので,コピーをとりにいく.
- 芝池博幸,森田竜義,拡がる雑種タンポポ,遺伝,2002,Vol. 56,16-18
また,DNAレベルでの雑種研究について,以下の2報に詳細が記されているらしい.
- 渡邊幹男,丸山由加理,芹沢俊介,東海地方西部における在来タンポポと帰化タンポポの交雑 (1) ニホンタンポポとセイヨウタンポポの雑種の出現頻度と形態的特徴,植物研究雑誌,1997,Vol. 72, 51-57
- 渡邊幹男,丸山由加理,芹沢俊介,東海地方西部における在来タンポポと帰化タンポポの交雑 (2)ニホンタンポポとアカミタンポポの雑種の出現頻度と形態的特徴,植物研究雑誌,1997,Vol. 72, 352-356
これらは,インターネット上の雑種タンポポ関連情報でもたびたび引用されている2報である.しかし,電子ファイルとして公開されていない.そこで大学図書館経由で入手することにした.取り寄せ依頼書を図書館に提出.
という調子で,しばらく関連情報を整理しつつ,植木鉢の観察を続けることにする.