今年1月にリニューアルオープンされた横浜市電保存館 に行ってきました.
実際に横浜市内を走っていた電車が保存されているだけでなく,横浜市の発展とともに市電の路線網が広がり,共に成長し,時代が変わり,市電が廃止されて現在に至るまでの歴史がわかりやすく説明されていました.
保存されている車両
6両の旅客用電車と,1両の貨物輸送用車両が並んで保存されています.
500型
1000型
1100型
1300型.
1600型
1500型
無蓋貨車
横浜市電は乗客輸送だけでなく,貨物輸送にも利用されていました.そのために無蓋貨車が作られました.無蓋貨車は,たとえばビールの輸送に活躍していました.
旅客車両の中には立ち入り可能
保存されている6両の旅客車両は,いずれも立ち入り可能です.
窓枠も背もたれも木製で,手で触ると暖かみがあります.
「図統系転運車電」は右から読みます.その車両が使われていた当時の路線図が車内に復元されています.
車内広告も復元されています.
市電は運転士+車掌の2名が搭乗していましたが,1967年から1人が兼務する「ワンマン運転」に切り替わって行きました.その際に乗客が降車希望を運転士に伝えるためのボタンが車内に設置されました.いまの都市部路線バスではこの方式が標準なので,「ワンマン」の意味は逆に伝わらなくなっています.
乗り物のドアが自動的に開くしくみになった当時は,ドアに手指を挟まれる事故が多発していました.傷口こそ描かれていないものの,赤い血しぶきっぽい表現で注意を促しいます.
運転席に運転士の帽子が置かれている車両もあり,もちろんかぶってみることもできます.
その他の展示
路面電車に使われていたモーター.一部が切り取られていてコイルが見えます.
女性乗務員の制服.半世紀以上前の映画やマンガに出て来る「未来の洋服」のイメージ.
昭和三十年代のお菓子を展示しているコーナーがありました.
ミルキーのパッケージに印刷されたペコちゃんの顔がなんか今のと違うような
鉄道模型コレクターの故・吉村栄氏のコレクションも展示されています.
PCゲームの「横浜市電車庫入れゲーム」.簡単なようで難しい.
社会の発展と変化のストーリーを市電を軸に整理した博物館
横浜市電保存館は横浜市に走っていた路面電車を保存する博物館としてだけでなく,横浜の成長と発展の歴史を整理して理解するために市電をモノサシにしている資料館でもあります.
街が広がると新しい交通手段が必要となり,そこで路面電車が登場して活躍し,それに伴って街が広がり,それに伴って路線も広がり,さらに街が広がると,市電では交通を支えきれなくなって地下鉄やバスに置き換わって行き,というストーリーを読み取ることができます.
路面電車や乗り物に興味の無い人でも楽しめる施設です.