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フランス・ギャルを聴いている1週間

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1990年代のある日

大学院生のある日(1990年代),よく行っていた池袋のレコード店の片隅に,フランス・ギャルのベスト盤の特設コーナーができていました.同じCDと同じアナログレコードが山積みになり,棚に何枚も並んでいました.赤いセーターにブロンドヘアの女の子が送って来るキリっとした視線が印象的でした.

適当なポップ広告も立っていたように記憶しています.その時期,CMソングか何かにフランス・ギャルの曲が使われたとかそんな感じの何かだったのかもしれませんが,もう覚えていません.

フランス・ギャルが1960年代のフランスのアイドルで,『夢見るシャンソン人形』とか『涙のシャンソン日記』といった邦題のヒット曲があって,世界的に大人気で,当時の日本でも人気があって,ビートルズが来日するちょっと前に東京でコンサートをおこなっていて,日本語バージョンで録音された曲もあって,っていうあたりのことまでは知っていたものの,それ以上のことは何も知らず,しかしその日の私は気まぐれで「一昔前のフレンチポップを聴いてみるのも面白そうだなー」程度に考えてCDを買ってきたのでした.

コレが私の人生におけるフランス・ギャル最初の1枚になりました.

2018年1月

フランス・ギャルが亡くなったと知り,この1週間,毎日フランス・ギャルの曲を聞きながら生活しています.

フレンチ・ロリータの代名詞として引っ張り出されてくる1960年代のアイドル時代のフランス・ギャルよりも,日本では知名度が低いけれども,本国フランスでは高い人気を誇っていた二十代後半以降のコンサートの音源を聴いています.

AppleMusicには1978年から1997年までの20年間の間に発売されたライブ盤7点が全て揃っています.

この20年間で毎回のように採りあげられてる曲を聴き比べると,楽器が変わっていたり,テンポが変わっていたりと,演奏される時代と会場に合わせた変化がみられます.

それと同時に,歌手としてのフランス・ギャルの表現方法も変わって行ったことがわかります.

二十代の頃はエネルギッシュに全力で歌っている曲が目立ち,観客を乗せて楽しく盛り上げることに力を注いでいるように受け取れますが,三十代になると同じ曲でも会場に語りかけるように歌う雰囲気が感じられるようになります.

四十代になると(年令のせいもあるでしょうが),歌っていない「間」でも歌を表現しています.音楽はメインボーカルが声を出しているときだけのものではありません.ボーカルはメインの要素かもしれませんが,楽曲の演奏において一つのパートに過ぎないのも事実です.

ライブ盤7点をぜんぶ聴くと,約10時間になります.その約10時間は,一人の女性アーティストの70年間にわたる人生のうち,二十代から四十代にかけての20年間の人生の記録です(31才から50才).

1978年

1982年

1984年

1988年

1993年

1994年

1997年

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