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5月に発売されたビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』リミックス版がおすすめ

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今年もビートルズ関係でイロイロありました.
4月にはポール・マッカートニーが東京ドームでコンサートをおこなったので,これを見に行きました(4月30日).
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そして5月には,ビートルズの最高傑作ともよばれている『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のリミックス版が発売されました(5月26日).

過去にビートルズのオリジナル・アルバムのリミックス版が出たのは,初めてCD化されたときに『ヘルプ!』と『ラバー・ソウル』がリミックスされた1987年の2件だけです(ビートルズのプロデューサーだった人物が作業を担当).

今回,イロイロなタイプのセットが発売されましたが,私は「6枚組スーパーデラックス」を購入しました.CDが4枚,DVDが1枚,Blu-rayが1枚です.

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どんなアルバムなのか

このアルバムではビートルズが架空のバンド『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に扮してコンサートをおこなう,という設定になっています.

1曲目でバンド紹介の曲があり,そこから曲が続いていって,最後に再びテーマ曲の別バージョンが演奏されて,それからアンコール1曲,という構成です.

曲と曲とがメドレー形式につながっていたり,会場のざわめきや歓声が効果音として加えられているなど,「アルバム1枚で1作品」という構成になっています.1曲1曲の集まりで1枚のアルバム,ではなくて,アルバム単位で作られた作品です.ビートルズ自身もこのアルバムからシングルカットをおこなっていません(英国内外のレコード会社の判断でシングルカットされた曲はある).

なんでリミックスされたのか

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が最初に発売された1967年は,録音機器も再生機器も今のものとはまったく異なるものでした.アナログの録音装置を組みあわせて録音作業とコピー作業を繰り返し,それがアナログレコードとしてプレスされて,家庭でレコードプレイヤーで再生されていたからです.iPhoneもWalkmanもなく,ヘッドホンやイヤホンで聞くことも(ほとんど)ありませんでした.

ステレオの音像をどのように構成するのかについても今とは異なった考え方がなされており,たとえばボーカルが片側に寄っていたり,ドラムスが左右に分離していたり,なんていうこともあって,今の基準で聞くと,特にヘッドホンやイヤホンで聞くと違和感を抱く曲もあります.

今回のリミックス作業では,こうした状況を50年後の2017年の標準仕様に直し,自然に聞きやすい構成にしてあります.

また,スタジオ演奏からアナログレコードになるまでの過程で使用された半世紀前の旧式機器(当時は最新鋭だったかもしれない)の仕組みや性能の限界により,さまざまな楽器の音が分離されていない面もありました.この点についても最新のデジタル技術を使って,よく分離されたサウンドに仕上げられています.

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具体的にどのように変わったのか

1曲目,テーマ曲でもある『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』では,右側から鋭く,そして粘着質なリードギターが聞こえてきます.ポール・マッカートニーが重ね録りで追加したこのパートは,1967年ミックスの音源では他の楽器に埋もれてしまっていて,目立つことはありませんでした.それが,50年の時を経て混沌とした音の集まりの中から抜き出され,暴れるための独立した場所を与えられた,という感じがします.

他の楽器も,コーラスも,効果音も,すべて最適な位置に再配置され,さらにクリアな音で広がりを感じさせてくれる仕上がりになっています.

特に印象的で驚いたのは,8曲目の『ウイズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』でした.

この曲はオーケストラとインド楽器をバックにジョージ・ハリスンが歌っている曲で,アナログレコード時代はB面の1曲目でした.

A面が終わるとレコードをひっくり返してこの曲を聴き,それから疑似コンサート後半に備える,という聴き方ができるしくみになっていましたが,CD化の際に簡単にスキップできるようになったため,この曲を飛ばして聴く人も多くいた模様です(私もときどきそうしていました).

しかし,今回のリミックスで,この1曲は表情を大きく変えました.
インド楽器のサウンドはきらびやかで,満点の星空から無数の流れ星が地上に降り注ぐ場面を想像させてくれます.
それは一種の錯覚でしょうが,聴覚から視覚が影響を受ける体験は生まれて初めてのものでした.

圧倒的に今回のリミックス版のほうが良い

こんな調子で最後の曲までを聴き通すと,「今まで聞いていた1967年ミックスのサウンドは何だったのか?」という疑問を抱かずにはいられません.

ビートルズに関してはオリジナルアルバムのリミックス作業は1987年の2枚だけしかおこなわれていなかったこともあり,「ミキシング状態も含めて最初に世の中に出たときのサウンドを聞くものだ」という価値観を持っている人もいます(私は否定も肯定もしません).

そういうこともあって,私も今回のリミックス版に対しては,「どんなリミックスになるのだろう?」という程度の関心しかなく,むしろ,デラックスセットに含まれている未公開音源とかムービーとかのほうに関心があったくらいです.

しかし,1枚通して2017年の『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を聞いてみた結果,こちらのほうが圧倒的にビートルズ・サウンドの良いところを伝えてくれていることがわかります.

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は1967年版でははく,2017年版のほうがいい!

かつてビートルズを聞いていた人々に聞いてほしい

今回のリミックス版は,「かつてビートルズをよく聞いていたけれども最近は聞かなくなった」という人々に聞いてほしい作品です.
これまでは気付かなかったビートルズの新しい魅力が発見できるかもしれないからです.

それから,リアルタイムにせよそれ以降にせよ,『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を初めて聞いたときはぶっ飛んだ!っていう人々にも是非聞いてもらいたい作品です.その時と同じか,それ以上に再びぶっ飛ぶかもしれないからです.

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド


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